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  • 執筆者の写真Toshikazu Maruno

SUKIYAKI -UE WO MUITE ARUKOU-


【Story of collaboration】 まだ、寒さも厳しい1月、昨年知り合ったチリのシンガーのErikaさんから、一本のメールが届いた。「一緒にコラボしよう」といった内容だった。その後、彼女はメールに音源を添付して僕に送ってきた。 僕は「どんな“オリジナル曲”だろう」と思いつつ、その音源を聴くことにした。そこには、彼女が歌うアカペラのみが収録されていたが、そこに収められていた楽曲が、“上を向いて歩こう”だった事、そして彼女が日本語の歌詞を上手に歌っている事に、僕は驚きを隠せなかった。実は“上を向いて歩こう”は、僕が唯一、日本のカバー・ソングで歌っている楽曲で、僕にとってはとても身近な歌であった。 彼女は、この日本の歌を通し、コラボレーションという形で、「チリ」と「日本」の絆を、そして僕らの友情を深めたいという思いを持っていた。 僕は、カバー・ソングを歌っても、それを公式に録音する事は今までしてこなかった。しかし、今回は彼女の依頼に応じてやってみようと思い、彼女のアカペラ音源を元に、この"上を向いて歩こう“をプロデュースする事にした。 が、しかし、アカペラの音源は、彼女が自由に歌ったもので、アレンジの参考にはなったものの、そのまま素材としては使えず、僕は、彼女のアカペラを元に、予め僕の方で、ガイド音源を作り、それに合わせ彼女に歌ってもらい、再び彼女にアカペラ音源を送ってもらう事にした。 元々の音源からは、アコースティック調の感じがピッタリだったので、その方向性でプロジェクトを進める事にした。その方が彼女の歌声を上手く表現出来ると感じたからだ。 数日後、彼女は再びアカペラ音源を僕に送ってきてくれた。前回と変わらない素晴らしい歌声を音源に納めてくれていた。今度は、彼女がこのプロジェクトの録音用に決めたテンポに合わせて歌ってくれていたので、その音源を軸に、僕は思うままにギター、ピアノと、音を重ねていった。 今回は、Erikaさんがメインヴォーカルだったので、彼女の歌声を活かしつつ、僕も彼女の歌声に合わせ歌った。余りオーバープロデュースせず、彼女の歌声を前面に出すアレンジを心掛けた。レコーディングやミックスは順調に進んでいったが、気がつけば、桜の花の咲く季節となっていた… そして先日、僕は彼女に完成したばかりの”上を向いて歩こう“の音源をメールで送った。彼女は、直ぐにその完成した音源を聴いてくれて、僕に、喜びに溢れたメッセージで返信してくれた。このコラボレーションが成功した事を、心からとても喜んでいる様子だった。それは僕も全く同じで、僕らの友情が音楽を通し深まった瞬間でもあった。 さて、この”SUKIYAKI”プロジェクトについてのストーリーは以上ですが、ここでお伝えしたい事があります。 僕は、昨年、Erikaさんと知り合った訳ですが、彼女と知り合うきっかけとなったのが、アルゼンチンのミュージシャン、DJ Pralo さんとの繋がりでした。 PraloさんはErikaさんとコラボの経験もあり友人同士でした。それで、僕は、Praloさんを通じてErikaさんと知り合う事になりました。 そして、その訃報は、このプロジェクトを進める中で、Erikaさんから伝えられました。Praloさんが急逝したと… 彼女は酷く打ち拉がれている様子でした。僕も深い悲しみの中にいました。Praloさんは、僕の音楽を評価してくれて、僕に多くの言葉を掛けてくれました。お互いの音楽をリスペクト出来る間柄でした。 その、Praloさんの訃報の後、このプロジェクトをPraloさんに捧げようと、Erikaさんから提案があり、僕も特別な思いの中で、作業を続けることになりました。 こうして、プロジェクトが無事に終わり、天国にいるPraloさんに報告できる事を嬉しく思います。Praloさんが生きていたなら、きっと僕らのコラボレーションを喜び、支持してくれていたと思います。 最後になりますが、今もこうして「音楽」を通し、世界と繋がれること、そして世界に素晴らしい友人を持つ事ができ、貴重な経験が出来ることに心から感謝したいと思います。全てが僕にとって大切な宝物です。 ありがとう、Erikaさん、そして、ありがとう、Praloさん! Toshikazu Maruno  

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