「3度目の正直」と言うわけではありませんが、10年以上ぶりにこの曲と再び向き合い、やっとそれなりの形にすることが出来ました。
初めてこの曲を書いたのが2007年の秋、父が亡くなってすぐの頃でした。
その後、初めて”DAW”を使用するに当たって、勉強段階で、手探りの中、”My Home Town”を録音してみました。それが「1度目」です。そして「2度目」は、2011年にリリースした、アルバム”KIZU絆NA”の為に新たに録音し直した時です。この時は、1度目よりは「丁寧に」録音された感じと言っただけで、楽曲が大幅にアップデートされることはありませんでした。当時、アルバムの為に楽曲をマスタリングしてくださった方のお陰で、今でも聴ける状態にあるのは幸いです。笑
そして、「3度目」が、今回の録音となった訳ですが、僕が昨年、アルバムのアイデアとして「ベスト盤」的アルバムの構想を立てた時に、候補として上がった楽曲に、この”My Home Town”がありました。しかし、録音に対して消極的でした。と言うのも、この曲をステージでは数え切れない程歌ってきましたが、アコースティック・ギターとヴォーカルだけのシンプルなヴァージョンが気に入っていて、敢えてバンド形式で録音し直さなくても…という思いがあったからです。じゃぁ、「アコースティック・バージョン」で録音すればと思うかもしれません。しかし、僕の中では録音し直すなら、バンド形態でやろうと決めていたので、録音に対する最初の一歩が踏み込めずにいました。
でも、とりあえずリズム・トラックを入れてみるかと、作業を始めてみたら意外なほどアイデアが湧き、そのアイデアに従い録音を進めました。
2度目の録音から10年、今回は基本的なテンポや雰囲気はそのままに、今の僕のやりたい音楽や嗜好をアレンジに取り入れ楽曲を仕上げました。
10年間この曲をステージで歌い続けてきた中で、今回の歌入れは肩の力を抜き、リラックスした気持ちで歌うことが出来ました。それから、今回は、「フィドル」や「ペダル・スティール」のアイデアがあり、アレンジは自然と「カントリー」の要素を強めました。しかし、それは楽曲に良い結果を与えてくれたと思います。僕が、2014年にナッシュビルの「ギター・センター」で衝動買いした「マーティン社」のアコースティック・ギター ($350)も今回のプロジェクトで活躍してくれました。
今回、僕は故郷である「鹿児島」について歌っていますが、アレンジに「カントリー」を取り入れ、2014年にナッシュビルを訪れたあの想い出を、この楽曲にリンクさせました。個人的な思い入れですが、アトランタからナッシュビルへ向かう車での3時間余りの道中に何度も鹿児島を思い出すことでした。国や土地柄は違えど、胸に去来するものは一緒でした。
正直に言えば、僕は1988年春に桜島に別れを告げ、夢の為に東京を目指しました。
根っからの「鹿児島県人」が歌う「故郷の歌」とは違いますし、「鹿児島愛」とか言われると、二十数年も鹿児島を離れた僕にとっては、正直恥ずかしさもあります。しかし、鹿児島を離れたからこそ、この曲は生まれたと思いますし、「音楽的」なことで言えば、僕が音楽に目覚めた80年代を鹿児島で過ごした事は、今でも大きかったと思います。
こうして、「鹿児島の歌」をこうした形で、10年ぶりに表現出来て本当に良い経験となりました。この経験の裏には、勿論、Covid19の影響があったと言うことも添えさせていただきます。
この新しいバージョンの”My Home Town”の音源は近日中にサイトやSNS等で、公開したいと思っています。
是非、カントリー・テイスト溢れる”My Home Town ~2020 Version~”を、お楽しみ下さい。
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