【STORY OF BEAUTIFULLY SAD RAIN】 2019年を迎え、除夜の鐘が遠くで鳴る中、僕は一つの作品を仕上げた。"Beautifully Sad Rain"、その曲である… 2018年、11月のとある日、久し振りに古くからの友人である、レニー・エバート氏(作家、脚本家、プロデューサー)から連絡があり、「映画に使える音楽を幾つか持っていないか?」と。彼女が言うには、その映画は"ホラー映画"だと云う。"不気味で、物悲しい"… 勿論、僕にはその様な音楽のマテリアルは持ち合わせていなかったが、唯一、参考になりそうな楽曲があった。2014年にリリースした"Gratitude"に収録されている"Tears And Rain"だ。この楽曲はドラマティックな曲構成になっていて、SEのギミックを取り入れたサウンドになっている。その部分が映画に使えるかなと思い、僕は彼女に返信すると共に、この楽曲を彼女に聴いてもらう事にした。彼女は、"Tears And Rain"を聴いて、そのSEサウンドを気に入ってくれた様子で、僕に、SEに使用した"雷"、"雨音"、そして"クワイア"を使って、映画に使用する楽曲を書いてみないか?と。僕は、自信も確信も無かったが、彼女からのオファーを受けることにした。ソングライターとして、新たな一面を見出せるかもしれないと思ったし、またとない機会だと感じたからだ。 僕は早速、"雷"、"雨音"、そして"クワイア"をベースに、楽曲を組み立てることにした。今回は、歌詞を書く事が無かったので、楽曲が持つメロディーやサウンドが、楽曲の世界観を表すような、そんなアレンジを目指した。まるで、パズルのピースを埋めるような作業だったが、それは僕をワクワクさせるものだった。普段僕が書く楽曲に"不気味さ"等、全く無縁だから、逆にやりがいもあった。だけど、楽曲を通し、印象に残るメロディーは心掛けるようにもした。それは、僕が曲を書く上で信条としていることだからだ。そんなこんなで、パズルのピースが全て埋まった時、一つのムービー・サウンドトラックが生まれた。"不気味で、物悲しく、美しい… そして降り続く雨だけが知っている…"、"Beautifully Sad Rain"、僕が初めて書き下ろしたムービー・サウンドトラック。 もし、この楽曲をエバート氏が聴いて、気に入ってくれたら、彼女の映画で使用されることになるだろう。それは僕にとって光栄な事で、キャリアの大きな一歩となるに違いない。だが、もし、使用されなくとも、僕の作品の中では生き続けるだろうし、僕はこの曲を気に入っている。それに、この楽曲の為に、僕はイメージしたビデオも制作した。そのビデオが完成した時、遠くで除夜の鐘が鳴っていた… 静寂の中、鐘の音が厳かに響き渡る… そして、画面の向こう側、遠くで雷の音が響き渡る中、静かに悲しみの雨が降り始める… "Beautifully Sad Rain" Toshikazu Maruno 新しい年を迎え、新しい楽曲がビデオと共に生まれました。これ程、幸せな事はありません。このブログを通し、新年から新曲についてのご報告が出来た事を嬉しく思っています。是非、下記文字リンクをクリックして、楽曲を楽しんで下されば幸いです。 最後に、僕の音楽を信じ、この機会を与えて下さったレニー・エバート氏に心から感謝いたします。